2012年4月10日火曜日

第二章

ブッタ最後の旅
ー 大パリニッバーナ経 ー

 中村元 訳

わたくしは内外の隔てなしにことごとく理法を説いた。完(まった)き人の教えには、何かを弟子に隠すような教師の握り拳は、存在しない。

「わたくしは修行僧のなかまを導くであろう」とか、あるいは「修行僧のなかまはわたくしに頼っている」とか思う事がない。

一切の想をこころにとどめることなく一部の感受を滅ぼしたことによって、相の無い心の統一に入ってとどまるとき、かれの身体は健全なのである。

故に、この世で自らを島とし、自らをたよりとして、他人をたよりとせず。法を島とし、法をよりどころとして、他のものをよりどころとせずにあれ。

 このように わたしは聞いた

完き人は隔てなく理法を説くだけであり。
他に教えや何かを説くと言うことは無い。

故にこの世において他人や知識や学問などに頼ることなく、理法によって、また自らが一切の想念を滅ぼしたことによって。
自らが無想の念にとどまるときこそ、自らに健やかなのです。このときの自らを島とし、このときの自らをたよりとなさい。

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